机上の空音 ジャケット
ジャケット解説を読む
Jacket Note — デザイナー中越令子氏より

「机上の空音」というCDのジャケット・・・。どんなのにする?

デモ音源を聞かせてもらうと、いろんな楽器の音がする!山田さんのソロだから音少なめのシンプルなものと勝手に考えていたら・・・。バンドやん。オーケストラやん。机の上で音が踊る?机の上で楽団が演奏している感じ?とか想像していると、山田さんから「chatGPTに相談してみたら(笑)机上にミニチュア楽団のアイデアが出てきたので、それもいいかなあと思ったり・・・」なんだ、AIと同じ発想か・・・複雑だなぁ。←ちょっとくやしい・・・。でも、粘土細工でミニチュアの楽器を作るのは、やってみたいなと思ったので、「それでがんばってみる」ことに。

山田さんとのお仕事は、いぶきさらさの2ndCDジャケットからデザインワークさせてもらっていて、写真を使う、二人の絵を描く、抽象画を描く、布を使うなどいろんなことをトライさせていただいてます。なので毎回創作意欲とプレッシャーの間でもがき苦しむ・・・楽しむことになります。

で、今回、粘土細工。頭の中ではイメージできてるけど、その通りできるのかちょっと不安で。とりあえず、早めにつくってダメだったら方向転換するべしでやってみました。トランペットとサックスを作ってみたけど、大きすぎて全然かわいくない・・・。机上に転がるのだからもっと小さくね。そうだ、大きいものからトライしよう!

次の日、ピアノを作ってみるとまあまあええ感じにできたので、調子に乗ってドラム?大雑把にざくざくと。この時点では「色、つけたほうがいいかなぁ。色つけて台無しのパターンもイヤだなぁ」とか揺れている。でもちょっと塗ってみる?とはじめの失敗作のサックスに水彩絵の具で色を付けてみる。なんだか味気ないなぁ。やっぱり塗らないほうがいいかしら・・。と横目で見ながら他の楽器をつくっていく・・・。ギターの音もするじゃない。ギターをつくる。ベース、岸さん、いい感じのベースじゃん、あれ、違う、コレ山田さんが演奏してるって、違う、机上で打ち込んでるのよねー、などとヨシナシゴトを考えながらねりねりつくる。

また次の日、絵の具が乾いたサックスを色鉛筆でガリガリ塗ってみる。あ、ちょっといい感じ。押入れの奥から色鉛筆の箱を総動員して何十年かぶりに金色とか使ってみる。ええ色出してくれますやん。よし、水彩と色鉛筆で行こう!方向は決まった、一応・・・。

が、これ、山田さんが気に入ってくれなかったら別のこと考えなくちゃなので、とりあえず早い段階で見てもらわなくっちゃだわ。でもミニチュアだけ並べるのも芸がないしー、机の上に小さな楽器、山田さんはコンダクター役よねーと思ってるうちに、楽譜置きますか!CDの中の曲の楽譜?CDのタイトルを楽譜に入れますか!参考までにと送ってくれた山田さんの仕事場の写真もプリントアウトして机上にならべて。この空間になにか、あ、鉛筆置きますか!

そんな第一案、まだ細工もつくりかけのままで写真を撮って山田さんに送ってみる・・・。ドキドキ・・・。「めっちゃ良い感じだと思いますー!!」と返事が来まして、ホッと胸をなでおろす。1対1のやりとりなので、できればいろいろと相談しながら作り上げたいなぁと思っていたのですが、そのとおり、ハーモニカは本物を入れるとか、アイデアのキャッチボールをしながらカタチにしていきました。

ハーモニカはかなり迷って、本物を入れたいけど、送ってもらうわけにもいかず、買うにはちょっと高すぎるし、貸してくれそうな人もいないし。で、いぶさら2ndアルバム「さあ宴にしようか!」で、居酒屋の写真に私が書いたメニュー(曲名)を合成するという荒業に挑戦したのだけど、あの手で行くか!と。でもなかなか角度が難しい・・・。山田さんが写真を送ってくれるのだけど、何度も取り直してもらうのも悪いし・・・。で、ハーモニカのSUZUKIのHPを見て、その写真を取ってきて入れてみると、あ、こんな感じ!山田さん、この角度でお願いします!と撮って送ってもらい合成^^

そんなふうに出来上がったCDジャケットです。机上の仕事に机上の仕事で対抗?しました。少しでもこの苦しみ楽しみを共有できたら?と書いてみましたが、拙い文章でどうもすみません。けれど、今回はかなり楽しんで作業しました、本当に。こんな機会をくださって、山田さん、ありがとうございました!

Works from My Desktop
Kijō no Kūon
机上の空音
きじょうのくうおん
山田友和 作品集
山田友和
Tomokazu Yamada

本作はDTMで、作曲・編曲から演奏、録音まで一人で制作しました。それぞれ異なる時期に生まれた曲たちを、再録音・リアレンジし、信頼できるエンジニアに調整してもらい、ひとつのアルバムとしてまとめています。

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1
Invitation to My Desktop

今回のアルバム制作にあたって書き下ろした、イントロダクション的な小曲。小物パーカッションは、うちにあるものを総動員して(熊よけの鈴まで🐻)録音しました。フクロウ(リュウキュウコノハズク)の鳴き声は、私の手笛です。

2
パイパティローマ

今作品中おそらく一番古い曲。日本最南端の有人島、波照間に伝わる楽園の伝説から名前をいただきました。20年くらい前にこの曲を作ってから、音楽家として生きていこうと思い始めたきっかけになった、自分にとってちょっと特別な曲です。2008年リリースの1stアルバム「あおの出会う場所」には、ボーカルバージョンで収録されています。

3
The Thirteenth Night

特に何も目的がなく書き始めた曲で、確か良いギター音源を手に入れたばかりの時に、使ってみたくて書いたような。自分の曲はもちろん全曲好きなんだけど、その中でもかなり私好みの曲です。

4
to-morrow

元々、あるプロジェクトのために書いた曲で、伊藤大輔氏による英語歌詞がついたバージョンもあります。今回は主旋律をクロマチックハーモニカで録音し直して、実はこっそりコーラスも入れてます。タイトルは、マクベスのtomorrow speechより。tomorrowは古英語の時代にもともとto-morrow(「明日に」という意味の前置詞句)だったらしく、その意味でこの表記を採用しました。

5
The Usual Place

神戸でいつもお世話になっている「いつもの場所」という名前のとても素敵なカフェで演奏するために書いた曲。午後の暖かい日差しが差し込む心地の良い空間のイメージです。余談ですが、この曲のために新しくピアノの音源を購入しました。

6
Sanction ISC 2022 Finalist

DTMを始めた頃にゲーム音楽コンペのために書いた曲。その頃のタイトルは、battle。我ながら某RPGの影響をかなり強く受けていると思います(笑)結構気に入っていたので、後に中間部を新しく加えて作り直しました。International Songwriting Competition(世界最大規模の作曲コンテスト)、2022年ファイナリスト。

7
Blessed Rain ISC 2024 Semi-Finalist

oliroというバンドで、ピアニスト大谷愛氏をフィーチャーするために書いた曲。愛(めぐみと読みます)さんフィーチャーなので、仮タイトルは「meguminoame」、そこからインスト版はこのタイトルに。oliroでは、リーダーによる歌詞がついて「雨の計らい」となりました。

8
そら

いぶきさらさという、ボーカルと鍵盤ハーモニカのデュオユニットのために書いた曲。この曲では鍵盤ハーモニカを大々的に使用しています。移り変わっていく色々な空模様を思い浮かべながら聴いていただけたら嬉しいです。

9
Sagrada Solitària

一旦全曲揃ってから、やっぱり今回のアルバムのための新曲が欲しい、と思いたって急遽制作しました。ハーモニカの練習中に冒頭のリフを思いついて、そこから構築して曲想を広げています。仮タイトルはfor nowでしたが、完成した!と思っても聴きなおしたらどんどん直したいところが出てきて修正する、というのを繰り返し、永遠に完成しない気がして、「サグラダファミリアかっ」と思ったところから、タイトルのヒントをもらい、ファミリアではなくカタルーニャ語で「孤独」を意味するSolitàriaに変えてみました。「聖なる孤独」——完全に一人で制作したこのアルバムの曲としてもふさわしくなったかと思います。

10
5 Minutes to 3 PM

旭川のFMりべーる「じゃずいとをかし」番組立ち上げの時に、エンディング曲として制作した曲。14:30からの30分番組で、番組最後の5分間に流してくださるとのことで、このタイトルに。そして、曲の長さもちょうど5分になるように制作しました。初めて、遠隔で制作画面を見てもらいながらご意見いただきつつ作る、という試みをして、とてもスムーズに進められました。中間部にほんのり和風のテイストがあるのですが、アルバムバージョンではさらに和風な楽器を足しています。

11
Harpist's Brew

ハーモニカを本格的に始めて間もない頃に書いた曲。この楽器を吹き続ける中で、少しずつ音が変わっていき、醸造するように経験や時間が混ざり合って、気づけば前とは違う響きになっている——そんなイメージで作りました。演奏を重ねるたびに変わっていくのが自分でも分かりやすいように、かなりシンプルな構成にしています。ちょっとした仕掛けもあるのですが、そちらはソロライブの時にでもお伝えできたらと思います。

12
The Witch ISC 2020 Finalist

いぶきさらさ制作の音の絵本「雨男のクリスマス」のために作った曲。物語に曲をつけるという作業は楽しくて大好きなので、ご依頼いつでもお待ちしています (*´-`) 魔女が出てくる印象的なシーンの曲なので、このタイトルに。

13
Home

2008年リリースの1stアルバム「あおの出会う場所」収録曲。生まれは北海道で、大学から関西在住なのですが、沖縄にハマりまくって何年も実家に帰らなかったあとに、久しぶりに帰った時、北海道の良さに初めて気がついて書いた曲。パイパティローマと同じく自分の中でちょっと特別な曲で、ハーモニカ奏者になってからも色々な方に共演していただいてます。

Composed, arranged, performed & recorded by Tomokazu Yamada